抜けたと思った打球に追いつき、矢のような正確な送球で、ヒット性の当たりをアウトに変えてしまう。
異次元の守備、「グラウンドに猿がいる」と前田健太にも言わしめた男、それが菊池涼介選手です。
10年連続ゴールデン・グラブ賞受賞(2013~2022)、最多安打(2016)、ベストナイン(2017、2020)を受賞し、2020年には二塁手としてはプロ野球史上初となるシーズン無失策、守備率10割を達成しました。
そんなすでにレジェンドとなっている、菊池選手のプロ野球選手になるまでを追っていきます。
・学生時代
菊池選手は東京都東大和市出身、武蔵工大二高時代は三塁手としてプレー、3年夏に長野県予選4回戦で敗退。甲子園出場経験は無し。
都内で育った幼少期から中学まで喘息を患っていましたが、長野県塩尻市にある、武蔵工大二高に進学すると、改善したといいます。
その後、東海地区大学野球、・岐阜学生リーグに所属する中京学院大学で、遊撃手として活躍。
ベストナインを5回獲得します。
大学通算10本塁打、主に3番を務めます。
2年夏、4年夏には大学日本代表候補に選出されます。
ちなみに大学4年間は、岐阜県中津川市にあるパチンコ店でアルバイトをしていたそうです。
プロのスカウトにも注目されます、当時のドラフト評価をみると、走攻守揃った遊撃手、リストの強い打撃で50メートル5秒9、右打者で一塁到達タイム4.3秒台を記録する俊足。遊撃守備は打球への反応が良く、一歩目が速い。
遠投117メートルの強肩を備え、プロから高い守備力を評価されていました。
当時のオリックススカウトの評価では、「肩の強さが際立っている。それに動きも良い。プロでうまく育てば井端のようになる」と評価されています。
他スカウトも「守りでプロの飯が食える」「うちのショートより上手い」あまり褒めないスカウトも「上手い」とうなるくらい菊池選手は、ドラフト前に高く評価されていました。
・広島入団
1位指名されてもおかしくないほどでしたが、地方リーグでの成績、低身長ということがマイナスになったのか、広島から2位で指名されます。
当時監督だった野村監督は「他にも候補はいた、スカウトの意見も割れていた、オーナーも迷っていた」と話しています。
その後野村監督の、スピードが一番ある選手がいい、という意見で菊池選手の指名に至ったそうです。
野村監督の声がなければ、カープ菊池は誕生しなかったことになります。
遊撃手だった菊池をセカンドに推薦したのは、当時野手のチーフコーチだった高コーチだったといいます。
「菊池はショートの守備範囲は申し分ないし、肩も強いけど、ダブルプレーを考えた時に、菊池のスローイングはセカンドにいた方がいい」との声で二塁手で起用されました。
当時レギュラーの東出選手の怪我もあり、チャンスを掴みました。
その後、誰もが認める世界を代表する二塁手へと成長しました。
私はプロ野球選手で誰が好き?と聞かれれば、迷わず菊池選手と答えます。
年に何回か野球を見に球場に行きますが、守備練習の時間になると、つい菊池選手に目が釘付けになってしまいます。
また、ここ一番の時の集中力の高さは凄いものがあります、特に試合終盤、絶対に塁に出てほしい時などは、例えボテボテの内野ゴロでも、全力疾走でヘッドスライディングで塁に出て、チームを奮いだたせる熱いプレーをしてくれます。
しかし、菊池選手も34歳、現役選手として見られるのは、残念ながら残り数年でしょう。
若手の頃は追いついていた打球も、膝の故障の影響もあるのか、今は無理に追わなくなりました。
しかし、その分ポジショニングなど、培ってきた経験を駆使して投手、チームを助けてくれています。
今チームには羽月選手、小園選手、矢野選手をはじめ、楽しみな若手の選手がいます。
特に矢野選手との二遊間は12球団の中でも屈指といえます。
現役でありながら、守備のコーチ的な役割も求められています。
菊池選手という生きた教材がすぐそばにいるということは、最高の環境といえるでしょう。
第二、第三の菊池選手がカープから生まれることを願っています。
菊池選手の活躍から目が離せません。
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